人材開発担当者はもっと現場との対話を
人材育成担当者の方は日々、教育研修企画や、研修実施の仕事をされていますが、意外と現場のニーズを把握することに時間を使っている方は少ないと感じることがあります。
新規のお客様の場合、最初のお打ち合わせで、
・現在どのような教育の施策を行っているか
・その施策はどのような背景・目的で行っているか
・その施策の成果と実際やっている中で見えてきた新しい課題は何か
というような論点を基本的には伺います。
その際、特に課題の部分については、その担当者の方だけが思っている課題であることもあるので、「経営層からよく言われる課題はないか」、「現場からの要望などはどのようなものがあるか」という点を必ず聞くようにしています。
その際に、現場から要望される声・ニーズを把握できていない担当者の方が意外と多くいらっしゃいます。
一般に研修やトレーニングは、「経営のニーズ」と「現状の人的リソース」のギャップを埋めるための施策と言われています。
経営のニーズは把握できていたとしても、ビジネス環境の最前線を戦っているのは現場です。現場のニーズをしっかり把握することなしに良い研修や企画は作れません。
また、現場のニーズを把握する際に大切なことは対象者の上司にも話を聞くことです。
また、現場のニーズ同様に、一つ上の視点である上司から見た時の期待値はどこにあるのかにも把握しておく必要があります。話を聞くことで、実際に研修企画を実施する際にも、上司が現場の方を研修に参加させることに納得感を持ってくれることに繋がるでしょう。
もちろん話を聞きに行ったとしても、本音を話してくれるとは限りません。そのため、普段から人材育成について話し合い、信頼関係を作っておくことが大切です。月並みですが、人材開発担当者は普段から社内を歩き回って人間関係を作っておくこと、現場のニーズを把握する姿勢が欠かせません。
以前幹部候補人材育成の研修を企画するベンダー側の会社に在籍していた時は、提案書を書く段階から、現場の方、上長の方、役員の方にインタビューする機会を持たせていただくことが多かった記憶があります。
そのお客様が抱える大きな観点での経営課題や人材育成の課題については公開情報を分析することや人材開発担当者との議論で見えてくるのですが、より手触り感のある課題感、その会社ならではの特殊性や関係性はインタビューを通してでないと見えてきません。
HR-TECHのようにテクノロジーが発展していって現場のニーズをより効率的に探れるようにはなるとは思いますが、現場のニーズを探る行為自体がなくなるわけではないので、人材開発担当者はもっと現場を歩き回ることが必要と感じています。