Corporate Learning & Development

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受講生のマインドセット問題

集合研修を提案していた時代も、今のようにeラーニングを提案していても、よく出てくる論点に、受講生のマインドセットをいかにして高めるかということが出てきます。

当然、どんなに綿密に設計されたプログラムであったとしても、受講する側の意欲やマインドセットが適切でなければ吸収力も高まらないですし、その後の行動変容にもつながないことは言うまでもありません。

 

その際、よく研修設計側から、

  • うちの社員は危機意識がないからどうしようもない
  • そもそものやる気がない人が多いから仕方ない
  • うちの社員は他社と比較して向上意識がないんですよ

という意見を伺うことがあります。

要するに参加者のマインドに問題があるという主張です。

 

確かに研修開始の時点でやる気のない人は一定割合でいます。特に強制力の高い階層別研修などでは、「この忙しい時に研修に呼び出されるなんて。。。」という表情をあからさまにする人も多いです。

このような状態では参加者にとっても設計者にとっても良い研修の時間にならないでしょう。

 

ただ、ここで考えるべきは、

  • こういう状況を生んだ原因は何か

ということです。

参加者だけの問題なのでしょうか。

 

受講生の集め方にも色々なやり方がある

 

どのような情報を、どのように伝えたら前向きに意欲的に参加してくれるだろうかという自問自答はとても大切です。

なぜこの研修を企画したのか、そしてこの研修にはどういった価値があるのか(実務に役立つ内容であること等)を伝えるためには、日時や場所、概要を伝えるだけでは不十分です。

例えば、営業部門への提案力強化の研修の場合、現在の会社が置かれた状況をデータで説明し、危機感を伝えた上で、提案力強化につながるメソッドが学べることを説明した資料を事前に配布する等です。

 

「商談数や、受注率が昨年と比較して10%低下しており、それにより収益が大きな影響を受けている。このままの状況が続くと新規事業への投資の原資が見込めないこと、更に既存顧客からのクレームや不満足にもつながっており安定収益としての基盤も危なくなる。今回の研修で提案力強化を学んでもらい、実際に営業部門としてどのような活動を今度行っていくかは研修後にまとめて提案してほしい」

といった趣旨の資料を正式文書として参加者に伝えるような形です。

 

また、私が以前勤務していた人材育成コンサルティング会社において選抜研修の際に行ったいた手法としては、経営者の力を借りることでした。

具体的には、経営者の方に「○○さん、あなたを経営幹部候補として見込んでいます。会社の変革にはあなたの力が必要です。この研修での学びを活かし、会社に変革に結びつけてくれることを期待しています」という招待状を直筆で書いてもらい、参加者に渡していました。

選抜研修は、経営幹部候補の方々が20名程度集められて、場合によっては土日の1泊2日の研修を数ヶ月の渡って行うものですが、このやり方で集められた参加者の方々は初日からやる気に満ち溢れた表情をしていたことを覚えています。

 

これらは集め方のヒントにすぎませんが、いずれにしても参加者のマインドセットを醸成することも研修設計者の大事な仕事であることを忘れてはいけないと思います。