Corporate Learning & Development

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研修の費用対効果の測り方〜その1〜

「人材育成についてどのくらいお金をかけるべきか」

「研修の費用対効果をどのように測定すべきか」

ということはよく聞く論点です。

 

何かの研修を何かで置き換える場合(集合研修でやっていたビジネスマナーをeラーニングで置き換える等)は、そもそも使っていた価格よりも、下がるかどうか(もちろん内容として同等以上のものであることが前提)で基本的には置き換えるかどうかの意思決定ができますが、上記2点についてはそこまで明確な答えが出しにくいかと思います。

 

「人材育成についてどのくらいお金をかけるべきか」については、業界平均であったり、他社の実績を参考する場合が多いように感じます。

 

雑誌記事やIR資料などの情報から

・同業他社は一人あたりどのくらいの研修費用をかけているか

・売上高の何%を人材育成に投資しているのか

を粗粗で算出し、自社の現状の投資額と比較して更に増やすべきかどうかという点を考えることが一つの方法と言えるでしょう。

 

そもそも研修の効果って何?

では、2点目の費用対効果についてはどうでしょうか?

 

費用対効果の前に、まずそもそも研修の効果とは何かを明確にする必要があります。

当然ですが、研修を企画、設計の際には事前に目的を設定します。

 

・入社2年目の社員に特定の知識やスキルを習得してほしい

・管理職に昇格した社員にマネジメントを身につけてほしい

等色々なケースがあり、実際にはより詳細に目的やねらい、達成したい状態を定義しますが、このような目的や達成したい状態が、研修終了後に作り出すことができたのであれば研修の効果があったと言えるでしょう。

 

次に重要な要素は、効果が現れるまでの時間と持続性、そしてそれによる経営数字へのインパク

その上で、考えるべき点は「その効果が出るまでにかかる時間」と「効果の持続性」です。

研修にもよりますが、研修は数日で実施されるものも多く、研修終了後に即座にスキルが身につくというわけではなく(特定のテーマにおいてはその限りではないですが)、学習した内容を現場で実践・行動し続けることで身についていくことが多いです。

場合によって数ヶ月ではなく1年から3年くらいの期間がかかるものもあるでしょう。

 

尚、効果の持続性については、例えば英語などは通常一度身につけると長い間忘れることもないので今後の持続性は高いと言えますが、環境変化によって陳腐化するスキル(例:弥生会計の使い方といったようなスキルは、クラウド会計がより普及すると不要になる)もあります。

 

これらをもとに研修の費用対効果をどのように評価するか、ですが、基本的にはファイナンス理論を用いて測定することが良いのではないかと個人的には考えています。

 

研修の効果が売上や利益に直結している場合は、より測定しやすいですが、研修効果により期待される売上や利益の上昇から、将来キャッシュフローを算出し現在価値に割り戻す。その総額から研修実施に関わる費用(研修費用のみならず、研修参加による機会費用も計上)を差し引いてプラスであれば効果あり、というようなやり方です。

 

研修による効果は抽象的に言うと生産性向上ということに結びつくことも多いので、それらを売上や利益インパクトに落とし込む・金銭価値に落とし込むことは難しい・もしくは不可能という意見も聞きます。

 

確かに難しい場合も多いと思いますが、個人的にはその努力を簡単に放棄すべきではいと思っています。

コンサルティング会社や投資銀行M&Aアドバイサーはブランド価値向上や風評被害による影響を金額する手法やアプローチを一般的に取り入れていると聞きますし、海外で研修の費用対効果を測定している事例はないのか、研修ベンダー何社かに事例を聞くなど、金銭価値に落とし込むためにベストを尽くすことが大切ではないでしょうか。