HR TECHにおけるAI・ビッグデータ活用と課題
前回述べたように、HR TECHは大きな市場である可能性を秘めたものですし、その範囲は採用・教育・定着・退職など多岐にわたります。
ただ、狭い意味でのHR TECHの領域においては、
・より効率的な求職者と会社のマッチング(採用の領域)
・データを活用したタレントマネジメント(採用後の配置・評価の領域)
の部分ではないかと思っています。
ここの部分が特にこれまで、勘と経験や人事のプロとしての人を見る目といった曖昧な観点に頼りきっている領域ではないかと考えるからです。
1点目についてでさえも、以前企業様向けの採用コスト削減の成果報酬コンサルティングを行っていた時、どの求人媒体でどのくらいの母集団がきて、選考突破率はどのくらいで、何人か採用できたかといった明確な指標で管理して毎回振り返りながら求人を出している会社は決して多くなかったことに驚きを隠せませんでした。(飲食店など頻繁に求人を出す機会が多く、年間の求人広告費がかさんでいる業態であっても)
ただ、最近は日本でも、採用においてはリファラル採用のサービスが出てきたり、ビズリーチさんの採用の業務プロセスを1元管理できるHRMOSというサービスも出てきたりしています。(古くはインテリジェンスさんのHITO-Managerなどもありましたが)
加えて海外のHR TECH事例においても、
・pymetrics(10以上の質問に答えるとアルゴリズムにより適切な業界や職種を分析し進むべきキャリアや会社を推奨するサービス)
・gild(Githubなどエンジニアが利用するサービスの情報を収集・解析し、エンジニアレベルのスコア化、ランキング化を行い、採用企業向けにスカウトサービスを提供
のような新しいサービスが続々と生まれてきています(そもそもHR TECHに対する投資額が日本と桁が違いますが)。
AIやビッグデータを活用する際及び活用の結果出てきそうな課題
このようにHR領域にデータ分析を取り込んでいく際に企業において、大きな課題がいくつか存在するように思います。
①データサイエンティスト人材の不足
これまでの過去データに加え、リアルタイムで信頼性の高いデータを整備していく必要がありますが、それをクレンジングし分析できるデータサイエンティスト人材が圧倒的に不足しているのではないでしょうか。
②戦略人事の存在
データとAIにより、取り得るオプションは色々提示されてきますが、最終的に判断するのは経営者・人事責任者です。事業戦略と人事戦略を密に絡ませ構想や判断基準を描ける戦略人事がどれほど育っているでしょうか。
③ポテンシャルや人間力・人間性の判断
現時点における最適な人材採用や配置はデータから導き出せたとしても、その人材の今後の伸びしろや、業務の専門性だけではない人間性などをどのように判断していくのか。これまでは選考の過程で課題を与えたり、面接での回答で判断していくという要素が大きかったと思いますが、こういったものをどのように判断していくかが問われてくる気がします。
実際の企業様でのHR TECHの活用事例や10年後の人事の姿などは引き続き弊社生放送でも行っていきますので是非ご覧ください!
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