Corporate Learning & Development

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アイドルとリーダーシップ

たまに思うこととして、経営とか組織に関して経営そのものから学ぶというよりも、別世界の事象や領域に触れることで経営や組織に関する理解がより深まるのでは、ということです。

サイバーエージェントの藤田社長は麻雀から勝負勘を学んだと聞きますし、グロービス代表の堀氏は囲碁が経営に役立つと説いています。

経営と囲碁を語る~「教育」と「囲碁」の関係とは? | GLOBIS 知見録 - 視る


僕自身も一時期麻雀にはまっていたこともあるので、麻雀にて勝負勘や攻める時と守る時のバランス、理と直感みたいなものが多少磨かれた気もしますが、今回はアイドルとリーダーシップについて、昔のフェイスブック(2012年)のタイムラインを見返した時に当時の同僚が書いていた投稿がなかなか深いことを書いていたので紹介します。

こういう視点で世の中の事象を見ていくと色々と考察が深まったりしますな。

※一部修正してます。

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巷で噂のももクロことももいろクローバーZ。彼女達の全力のパフォーマンスは日々多くのモノノフ達を産みだしているが、今日はその仕組みの面に焦点をあててみたい。彼女達のライブは、まぁ10代の女子相手にはっきりいって気持ち悪い位いいオトナが羞恥心を捨てて盛り上がっているわけだが、この状態を一言でいえば、それは『フロー状態』であると言えるだろう。それを説明する論点は2つある。それは、

1.あるがままのリーダーシップ
(Authentic Leadership)


2.フローを生み出すシステム

だ。

まず1についてお話したい。彼女達の曲を聴いたことがある人は既にお気づきかと思うが、彼女達の曲は総じてキーがかなり高い。頑張らないと歌えないほど高い。そしてダンサーの私でもついていくのが大変なほどリズムが早くて複雑だ。これが何を意味しているか。それは、『そもそもメンバー全員が全力でやらないとパフォーマンスできないように最初から構成されている』のだ。

理論的にはフローの構築に大事な要素は達成可能な少し上のタスクを連続して与え続けることだ。つまり彼女達はフローを生み出しやすい曲を延々と歌い、踊り続けることで、自然と自分達でフロー状態を作りだしているのである。これは作詞・作曲のヒャダイン、あるいはMgrの川上アキラ氏のマネジメントの才に脱帽せざるをえない。この曲の構成の妙とその連続性があのライブでの驚異的なパフォーマンスを生み出しているのだ。

これまで、ももいろクローバーとフロー理論について述べた。しかし、ここで重要なのは、そのフロー状態の彼女たちがいかにフロー状態にないモノノフ達を巻き込み、集団でのフロー、いい変えるならば社会運動を巻き起こしていったかである。やはりこの点を解明しなければ単なるちょっと変わったアイドルがいるというだけで、この社会現象を巻き起こしている本質に答えたことにはなるまい。そして我々がその知見を実世界に活かすこともできまい。

皆さんは次の動画を見たことがあるだろうか??そう一人の馬鹿がリーダーになる様を描いたこの映像。

http://blogs.itmedia.co.jp/yasusasaki/2010/04/w-f050.html

原題は「How to Start a Movement - 社会運動はどうやって起こすのか?」。である。一人の裸の青年(馬鹿)が最初は一人で踊り続けているのが次第に周りの人がそれに巻き込まれ、踊りの渦を巻き起こしていくプロセスを表現した映像である。

いや、わかるよ、いってることは。でも、いいオトナがアイドルなんて、ましてさ、

http://blog-imgs-46.fc2.com/m/o/m/momokuromatome/DSC_6423.jpg

これだよ??(赤から煙がでます)。。むりじゃん。。むり。。

かくいう私も、かなこぉ↑↑とかいうの恥ずかしいし。。
(ももクロちゃんは自己紹介でそれぞれの名前を呼ぶパフォーマンスがあります。)

そう、この社会運動理論の難所は、この、『つか、ぶっちゃけ恥ずかしいじゃんんっ!!!』の限界を普通の人は越えれないところにあるのだ。ではその波に自ら入り、モモノフになることに戸惑いを抱く小市民達を彼女達はいかに巻き込み、この難所を超え、この社会運動を巻き起こしていったのだろうか。

その解は、組織開発でよく使われるメタファー(比喩)の原理を使っているところにあると筆者は考える。比喩の原理とは簡単に言えばヒューマンシステムはイメージに従って行動しているということでその比喩が何であるかが直感的に理解できれば自然とその比喩に表現されている世界を演じようとすることである。

つまり、組織や社会における思考や言語レベルだけでは認知できない複雑なモデルの転換を図る場合、難しい言葉ではなく、分かりやすい例え(比喩)を使うと人はそれをイメージとして受け入れやすくなり必然的にアクションにつながりやすくなるのだ。(例えばスターウォーズみたいな組織になる!とういうメタファーを用いるとマネージャーはヨーダのような影から人を支援する存在という分かりやすいモデルを認識し行動するようになる。)

そんな彼女たちのライブを見たことがあるひとはわかるだろう。彼女達が使っているメタファーとは、そう「プロレス」である。分かりやすい例を出そう。2011年クリスマスに行われたももいろクリスマス(通称ももクリ)@さいたまスーパーアリーナ。さいたまスーパーアリーナと言えば、言うまでもあるまい、かのPRIDEの聖地である。ヒョードルがノゲイラをボコボコにしたあれである。超人ミノワマンが巨人と戦い続けたあれである。
ももクリではPRIDEの演出そのままに、解説席を設け、登場シーンはPRIDEそのまま。選手紹介はレニー・ハート((例)青コーナーから入場するミルコ・クロコップ紹介する際「インザ、ブルゥゥゥゥゥゥーコーナァァァァァ! フロォム、クロエイティア―、ミールコォォォォォ、クロ、カァァァァァパァ!!」っていう人ね。)を用いるといった徹底ぶり。

※まだ見たことが無い人はぜひこの映像を参照頂きたい。

http://www.youtube.com/watch?v=yUvUVG1o6bs

そう、このプロレスという比喩を用いた演出により、戸惑う小市民たちに「あ、これってプロレスと同じなのね」という無意識的な認知構造の転換を図るとともに、彼女達を霊長類最強を目指す選手と同等の次元に押し上げ、この狂気的な渦に巻き込むことに成功したのである。もちろん、低迷する格闘技業界において、やり場のないストレスが溜まっているファンをターゲットとして定めたのはいうまでもない。賢明な読者なら、もはや彼女達の姿がなぜこうなのか、その意味がわかるだろう。

http://blog-imgs-46.fc2.com/m/o/m/momokuromatome/mnikkan_P2011102305269.jpg

前考から語ってきたように、フローを起こさざるを得ない仕組み、そしてメタファーの効果的な活用。この二つこそがももクロとフロー理論の関係性、いやもっというならば社会運動を巻き起こした彼女達のその仕組みが何であるかを解く鍵なのである。

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