Corporate Learning & Development

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一律の育成から一人別の育成へ

今週大企業の人材育成担当者の方とお話しする機会がありました。

様々なテーマについてお話しましたが、「大企業においては、一律の育成から一人別の育成へという波がより加速している」というのが気づきとして一番大きかったことです。

金融、メーカー等大企業においては、これまでは新入社員として入社し、みんなが一律の研修を受けていく。そして大体同時期に昇格をして、昇格時においても画一的な昇格時研修を受講する。そのような「横並び」・「一律」気質がまだまだ残っている企業が多いのではないでしょうか。

ただ、最近は色々な変化が起きているようです。

変化①一律の育成の効率化

第1の変化は一律の育成の効率化です。

一言で言うと、一律で行っている教育においては主に知識やスキルのインプットメインなことが多いので、集合研修など時間や場所の制限がある(かつコストも高い)やり方ではなく、eラーニングを主軸として効率的に行おうというものです。

ただ、ここの領域は大手企業さんにおいては既に取り組まれていて、

・階層毎に求められる人材像の定義(ハイパフォーマー分析等)

・人材像において必要なスキルとマインドの棚卸

・そのスキルとマインドをOJT・OFF-JTでどのように身につけるかの整理

・OFF-JTであれば集合研修やeラーニングをどう組み合わせるか

といったことの整理は(コンサル等外部を使いながらも)大分進んでいるように感じます。

今週お話しした人材育成ご担当者も「人材像の定義や、そこで必要とされるスキルの整理、そのためのeラーニングコンテンツなどは整えてきた」とのお話しでした。

変化②一人別の育成にテクノロジーの活用

一律の育成における効率化を進めた後は、人材育成担当者もより人材育成担当者も企画を含めた育成のコア業務に時間が割けるようになってきます。

結果として、より一人別・個別最適な育成について取り組まれようとされている企業が増えてきているように感じます。

 

もっとも、一人別の育成というコンセプト自体は私が以前人材育成コンサルタントを行っていた5年程前からよく聞く機会のあったお話です。

ただ当時はどちらかというと、経営幹部候補といった将来のリーダー候補の方を

・早期選抜し

・ストレッチした業務機会もしくは選抜研修機会を提供

・その結果をアセスメントし次のポジションに登用する

といったタレントマネジメントのお話が中心でした。

 

それに対し、今週の人材育成ご担当者様は、より広い層の社員様に対して、一人別の育成をしたいというお話をされており、そのためにテクノロジーを活用していきたいと考えているご様子でした。

例えば、新入社員においても配属される拠点や部署が異なるため、業務内容も当然各自異なってきます。仮に同じ商品を扱う営業部であっても、お客様の業界が異なると必要となる知識やアプローチ方法も異なってくるでしょう。

その結果、〇〇事業部に配属された営業のAさんに今必要なスキルはロジカルシンキング(相当ざっくりなレベル感の表現ですが。。)となった場合に、、、

「ではそのAさんにとってはロジカルシンキング講座の中でも何が適切なのか(例えば通信教育のA社のロジカルシンキングのクラスがいいのか、ビジネススクールB社のコンテンツがいいのか)」をAさんという特性(これまでの学習履歴から学習スタンスや学習意欲の特性など)を踏まえリコメンドしてくれるような学習プラットフォームを整えていきたいというお話しです。

そこには過去の学習ビッグデータや、解析のための人工知能も搭載されてくることでしょう。

 

私自身も時々思うのですが、例えば英語学習方法は世の中に沢山あって、そのどれもがおそらく間違ったやり方ではなくてそれなりに効果の出るものだと思っています(大多数にとっての王道の学習方法というものはもちろんあると思っていますが)。

しかし、誰もが自分自身にとっての適切な学習方法を選択できず、継続学習ができていないということがあるのではないでしょうか。自分の学習における特性を知らないため、相性の悪い学習方法を試して結果が出ず、自信をなくす。そのような悲劇が数多く起きている気がしてなりません。

自分にふさわしい学習コンテンツに加えて「自分にふさわしい学習方法」の把握、そしてそのためには、まずは自分の学習特性を把握することが第一歩なのでしょう。テクノロジーを活用した学習にはまだまだ大きな可能性があることを感じた今週でした。